雨のこと〜雨が教えてくれる気配と記憶〜

雨が降りそうなとき、匂いがする。
どうやらそれはバクテリアのせいらしい。

雷が鳴る前にも、匂いがする。
どうやらそれはオゾンのせいらしい。

どちらも外にいるときだけ感じられる匂いだ。

夏の夕立。二十歳くらいまでは、その雨に打たれたくてわざわざ外へ出た。
車の免許を取った頃は、夕立が降ると海岸線を東へ走っていた。

雨が過ぎる頃、決まって大きな虹が現れた。

匂いは、外にいないとわからない。

大人になってからは、わざわざ外に出ることはしなくなった。
雨に濡れることが、少し煩わしくなったからだ。

それでも、雨が好きだ。
雨の景色を眺めるのも、窓辺で耳を澄ませて雨音を聞くのも好き。

雨上がりの匂い、少し冷えていく空気、
そして、あのキラキラした感じも変わらず好きだ。

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